生活保護は海外旅行に行けない?

生活保護は海外旅行に行けない? ブログ

⚫︎生活保護受給者の旅行事情について徹底解説

生活保護受給者は海外旅行できるのでしょうか?生活保護は受給するにあたって様々な制限があり注意が必要です。生活保護受給者の海外旅行はケースワーカーに事前に伝えずに後でバレた場合、その「旅行の内容」によっては生活保護費が減額されるケースや、保護費の返還、または保護の打ち切りになる可能性もあります。
今回は、生活保護受給者が海外旅行に行けるのか?その様々な注意点についてみていこうと思います。

⚫︎生活保護の基礎知識

生活保護

まず、生活保護とはどういうものかを簡単に説明します。
生活保護とは、基本的に「一定の条件を満たしていてもその収入が最低生活費に満たない場合に、その差額分が生活保護費として支給される制度」で、生活保護受給者はその最低生活費によって「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることになります。(一般就労している場合は一定の基礎控除あり)
この「最低生活費」での生活というのが、とっても重要なポイントになってきます。 
ちなみに、生活保護を受給するために満たさなければならない「一定の条件」とは次の四つです。

  • 活用できる資産は売却などして生活費にあてる
  • 他の制度で給付などを受けられる場合はそれを活用する
  • 親族から援助を受けられる場合はそれを活用する
  • 働ける場合はその能力を活用する

これらの条件は生活保護における「他方優先」という考え方によるものです。「他方優先」とは簡単にいうと「生活保護以外の他方(上記の条件など)」を優先してもなお、生活に困っている場合は生活保護を受けられますよというものです。したがって、これらの条件を満たしていてもなお、その収入が最低生活費に満たない場合に生活保護が受けられます。

⚫︎生活保護受給者は海外旅行できるのか?

海外旅行2

▪️事前に必ずケースワーカーに相談すること

生活保護法には海外旅行を禁止するという記載はないため、海外旅行に行くこと自体は可能です。パスポートの発行も、もちろん可能で生活保護だからといって特別な手続きはないです。パスポートの取得も出国手続きも基本的には役所にバレることなくすることができ、ケースワーカーに事前に知らせることなく海外旅行に行くこと自体はできてしまいます。
しかし、冒頭にも触れた通り後でバレた場合その「旅行の内容」によっては生活保護費が減額されるケース保護費の返還、または保護の打ち切りの可能性が出てきます。また生活保護法では受給者の申告義務として「生活に大きな変化があった場合は遅滞なく役所に知らせる」という考え方がありますので必ずケースワーカーには事前に相談しましょう

▪️保護費が減額・返還、される「旅行の内容とは」?

では、生活保護受給者が海外旅行をして生活保護費が減額されたり返還しなければならない可能性が出てくる「旅行の内容」とは何でしょうか?それはズバリ「遊興目的」の海外旅行です。要するに遊び目的ですね。
この場合、海外旅行に行くためのお金が収入認定される可能性があります。前にも述べましたが、生活保護は支給される「最低生活費」によって「健康で文化的な最低限度の生活」を送る制度です。遊興目的で海外旅行に行くということは、その生活保護の趣旨に反すると認められ、海外旅行に行くお金が「余っている」または「収入があったもの」と判断されるようです。したがって、海外旅行に行っている日数分は生活保護費(生活扶助)が支給されず結果、翌月減額となるようです。 
ちなみに、ここで減額・返還となるのは「生活扶助」に当たる費用です。「住宅扶助」や「医療扶助」などは減額・返還の対象とならないようです。

▪️生活保護が打ち切りになることも!!

また、生活保護が打ち切られる可能性のあるパターンもあるので注意が必要です。そのパターンは主に三つ挙げられます。

  • 海外旅行に行くための資金を支援してくれる人がいる場合
  • ケースワーカーに知らせずに海外旅行をして連絡が取れない状態が続く場合
  • 海外旅行をしたことが後でケースワーカーにバレた場合

一つめの「海外旅行に行くための資金を支援してくれる人がいる場合」ですが、この場合その海外旅行が終わった後(普段の生活に戻った後)も支援できるかどうか役所が要請することも考えられます。もし、その支援者が普段の生活においても支援してくれるとなれば当然 生活保護は打ち切りとなるでしょう
二つめの「ケースワーカーに知らせずに海外旅行をして連絡が取れない状態が続く場合」ですが、これは海外旅行に限ったことではありません。普段の生活においてもケースワーカーと連絡が取れない状態が続いてしまうと生活保護が打ち切りになる可能性は高まります
三つめの「海外旅行をしたことが後でケースワーカーにバレた場合」ですが、これも打ち切りになる可能性はあります。ケースワーカーに事前に知らせないで海外旅行をし、無事帰国した後そのまま生活保護を受け続けた場合、本来減額されるはずの保護費が減額されずに生活保護を受け続けることになりますから、当然後で海外旅行に行っていたことがバレると不正受給とみなされて生活保護が打ち切りになる可能性があります

▪️生活保護費に影響が出ない「旅行の内容」とは?

これまで見てきたのは、生活保護費が減額や返還になったり生活保護が打ち切りになったりする「遊興目的」での海外旅行の事例でしたが、それとは反対に生活保護費に影響が出ない「旅行の内容」というのもあります。それは一体どういうものでしょう。
生活保護費に影響が出ないということは収入認定されないということです。厚生労働省の生活保護実施要領等によると、それにあてはまる「旅行の内容」は次の三つです。

  • 親族の冠婚葬祭・危篤や墓参り
  • 修学旅行
  • 公的機関主催の文化・スポーツ等の国際大会への参加(選抜・招待に限る)

以上の三つの目的で概ね二週間以内の海外渡航は、生活保護費の使途が生活保護の趣旨に反しないことから、申告すれば収入認定されないと考えられます。また、この三つ以外でも生活保護費をやりくりして貯めたお金で海外旅行をする場合は、収入認定されない可能性があるということです。

⚫︎国内旅行は海外旅行よりもゆるい?

国内旅行1

これまでは、主に生活保護における海外旅行の建て付けについてみてきました。では国内旅行に関してみていくとどうなるでしょう。
国内旅行であれば海外旅行よりも条件的にはゆるく、生活保護費から充分に貯めたお金で近場に一泊程度するくらいならケースワーカーに伝える必要はないでしょう。しかし、不在の状況が続けば保護を打ち切られる可能性も出てきますので、事前にケースワーカーに知らせるようにしましょう。また前述しましたが、生活保護法では受給者の申告義務として「生活に大きな変化があった場合は遅滞なく役所に知らせる」という考え方がありますのでケースワーカーには事前に相談しましょう

⚫︎まとめ

海外旅行1

生活保護は海外旅行できるの?

  • 生活保護法には海外旅行を禁止するという記載はないため、海外旅行に行くこと自体は可能
  • 「旅行の内容」によっては生活保護費の減額返還保護の打ち切りの可能性がある
  • 生活保護法の申告義務として「生活に大きな変化があった場合は遅滞なく役所に知らせる」という考え方があるため必ずケースワーカーには事前に相談する

生活保護費が減額されたり返還しなければならない可能性が出てくる「旅行の内容」とは?

  • 遊興目的の海外旅行
  • 遊興目的で海外旅行に行くということは、その生活保護の趣旨に反すると認められ、海外旅行に行くお金が「余っている」または「収入があったもの」と判断される可能性がある 
  • 海外旅行に行っている日数分は生活保護費(生活扶助)が支給されず結果、翌月減額となる可能性がある

生活保護が打ち切りになるパターンとは?

  • 海外旅行の資金を支援してくれる人がいる場合(その支援者が旅行だけでなく普段の生活も支援してくれることになれば保護は打ち切られる
  • ケースワーカーに知らせることなく海外旅行に行き絡が取れない状態が続く場合
  • ケースワーカーに知らせることなく海外旅行に行き後でバレた場合(減額されるべき保護費が減額されないまま保護を受け続け不正受給とみなされる可能性がある)

生活保護費に影響が出ない「旅行の内容」とは?(収入認定されない海外旅行とは?)

  • 親族の冠婚葬祭・危篤・墓参り
  • 修学旅行
  • 公的機関主催の文化・スポーツ等の国際大会への参加(選抜・招待に限る)
  • 上記三つの目的で概ね二週間以内の海外渡航は、申告すれば収入認定されないと考えられる
  • 生活保護費をやりくりして貯めたお金で海外旅行をする場合は、収入認定されない可能性がある

国内旅行は海外旅行よりもゆるい?

  • 生活保護費から充分に貯めたお金で近場に一泊程度するくらいならケースワーカーに伝える必要はないと考えられる
  • 不在の状況が続けば保護を打ち切られる可能性もある
  • 生活保護法の申告義務として「生活に大きな変化があった場合は遅滞なく役所に知らせる」という考え方があるため長期旅行の際は必ずケースワーカーに事前に相談する

★旅行に行く際は必ずケースワーカーに相談する

海外旅行3

国内旅行、海外旅行を問わず旅行に行くときはケースワーカーに知らせる・相談するというのが鉄則です。生活保護は、支給された最低生活費で「健康で文化的な最低限度の生活」を送るという趣旨があります。そこには「必要以上の贅沢はせず支出の節約に努めなければならない」という考え方も含まれるでしょう。その趣旨かあら鑑みれば遊興目的の海外旅行は、その最低生活を圧迫するおそれもあります。そのため一定の制限がありますし、逆に言うと海外旅行に行くお金があるならばその分「お金が余っている」とみなされ収入認定される可能性もあり、保護費減額となるおそれもあります。旅行に行く際は必ずケースワーカーに相談するようにしましょう

生活保護は海外旅行に行けない?

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